葉酸という栄養成分は、妊婦にとって大切な成分というイメージがあるかもしれません。
では、葉酸が不妊症においても大切な栄養成分であることは知っていますか?
葉酸の働きとは
葉酸は、悪性貧血の予防に効果的であることと、細胞の再生に大きく関わるという働きがあります。
妊娠中の女性に葉酸の摂取を勧めているのは、この細胞の再生の働きが妊娠初期の胎児に大きな影響を及ぼすからです。
具体的には、赤ちゃんの先天異常でもある神経管閉鎖症は妊娠初期の妊婦の葉酸摂取不足が大きく関連しているということがわかっています。
ではこの葉酸と不妊症とはどのような関係があるのでしょうか。
遺伝子異常に関連する不妊症に対して葉酸が効果的!?
葉酸のサプリメントをインターネットで調べると、「葉酸を摂取すると妊娠しやすい体になる」という印象を受けがちです。
ですが妊娠しやすい体作りに必要な栄養は葉酸だけでなく、バランスよく栄養を摂取する必要があります。
葉酸だけで不妊症を克服できるという明確な根拠は現時点ではないのです。
ただ、葉酸は細胞分裂の際に遺伝子情報を正確に伝える働きがあります。
受精から妊娠初期にかけて、細胞分裂をしながら受精卵は胎児になりさまざまな臓器を作ります。
この時期に多くの葉酸が使われ、もし不足しているとうまく遺伝子情報が伝わらず胎児に遺伝子異常が生じます。
遺伝子異常をもつ胎児は流産になりやすく出産に至らないケースは珍しいことではありません。
つまり葉酸は、妊娠しやすい体作りでなく、胎児の異常による流産を減らすという意味で不妊症に効果があると言えるでしょう。
男性の不妊症にも葉酸が効果的!?
遺伝子異常という点では、男性の不妊症にも葉酸の摂取が効果的であると言われています。
精子は日々新しく作られますが、葉酸が足りないと遺伝子異常のある精子が作られてしまい不妊症につながるのです。
卵子の老化を防いだり数を増やしたりすることは難しいですが、精子は日々作られていますので葉酸摂取により不妊症改善につながると考えられています。

気をつけたいのは、精子が作られるにはおよそ2ヶ月ほどかかりますので、葉酸を多く摂取したからといって早く効果が出るわけではありません。
決められた量を毎日摂取し続けるということが大切になるでしょう。