不妊治療を始めて1年ほどがたったころでした。
毎月残念なことに月のものがくる時期になってもなく、病院で検査するのが待ちきれず妊娠検査薬を買って自宅で検査、陽性反応が出て、家族にメールと電話、飛び上がるほど嬉しいことでした。
その日は休日だったので 病院があく日までとても待ち遠しく感じていました。とうとう赤ちゃんを抱ける!と、先のことばかり考えてわくわくしていました。
病院で診察してもらうと、確かに妊娠はしているけれど、確定はまだできないから1週間後にまたきてと言われました。すぐにおめでとうございますって言われるものだと思っていたので不思議でした。
とても長い1週間をお腹を撫でながら過ごしました。翌週、当然今度こそはおめでとうと先生に言われるものとばかり思っていましたが、結果は残念なことに稽留流産でした。
ひどくがっかりしてもしょうがない、不妊治療の中ではこんなことはこの先も何度も起こるかもしれない、もっと辛い人はたくさんいると思って泣くのは我慢できましたが、とても辛くて笑うことはできませんでした。
後日処置をしてもらう時になって、とても辛くなってわあわあ泣いてしまいました。たとえ育ってなくても赤ちゃんがお腹にいた時は保てていたものがなくなってしまったのかもしれません。看護士さんがとても優しかったです。
その後また1年ほど不妊治療を続けました。なかなか妊娠には至らず、あの時の妊娠は奇跡だったのか、私は母親にはなれないということかと辛い日々でした。
諦めきれずに人工受精に切り替えて3回目、また妊娠の兆候がありました。またぬか喜びはしたくないと思いながらも、妊娠検査薬を買って自宅で検査、陽性反応が出ました。夫にだけはそのことを伝えました。
翌日、病院に行き、前回と同様に1週間後に再診察。妊娠はしてますよ、大丈夫ですよ、心拍の確認を来週できるといいですねと言われました。
前回よりもドキドキの1週間でした。嬉しさと怖さが同じ重さの長い長い1週間でした。
あれから3年が経ちました。生まれた娘は2歳5ヶ月になりました。もしかしたらお兄ちゃんかお姉ちゃんがいたかもしれない、いやいやあの時の子が戻ってきて今の娘なのかもと思いながら毎日楽しく育児をしています。
娘が大人になって、母になるような年齢になるころに、もし機会があればあの時の流産のことも話して聞かせたいなと思っています。経験がない人には伝わらない感情もたくさんありますが、娘には伝わるんじゃないかと思っています。